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【西尾維新】撫物語を読んだので、あらすじ&感想を綴ります【ネタバレ最小限】

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物語シリーズの最新作である「撫物語」7月29日に発売されました。

 

オフシーズンということで、お話の本筋とは違った部分を掘り下げていくお話ですが、本作もある程度の今までのお話の流れを汲んでいる部分があるので、初見の方には厳しい内容でもあります。

 

撫物語というタイトルの通り、メインキャラクターは仙石撫子です。最近は1冊で複数の短編を集めた作品が多かったのですが、本作は1冊まるまる1話、撫子のお話です。

 

そして、撫子という人の成長を追う物語です。

物語のあらすじ

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本作の物語は、撫子が神様をやめて、漫画家を目指している半ばに、両親から「中学を卒業したら働くように」言われたことを起点として始まります。時系列的にはかなり最新に近い部分のお話ですね。

 

語り部は「撫子」であって、撫子らしい自分に問いかけるように、そして自分にツッコミを入れるようにして進めていく語り方は確実に声優の花澤香菜さんのお声でふわふわと再生されて頭の中に響きます。

 

働くという現実を突き詰められた撫子に対して、式神で童女である斧乃木余接が「1万時間」という一流になる為の最低限の時間の必要性を説きます。

 

1日8時間物事に取り組めるとすると、約3年必要な計算です。

 

中学校を卒業するまでに当然ながら3年も無いワケですが、余接はこう言い聞かせます。

努力を3倍にするのではなく、お前の人数を3倍にすればいいんだよ

 

というワケで、正確には5人の撫子で漫画を描く作業をすれば卒業までに一流になれるだろうと考えた2人は、撫子自身がが4人の撫子を書き、余接が式神として具現化する方法を実行しようとします。

 

描く姿が現在の自分だと、式神に乗っ取られる可能性があると余接に忠告を受けた撫子は「おと撫子」「媚び撫子」「逆撫子」「神撫子」を描きます。それぞれが自分の過去であり、ブレにブレまくってきたキャラクター達です。

おと撫子は大人しくて、前髪を全力で伸ばしていた頃の自分。

媚び撫子は、「あの人」に精一杯媚びていた頃の自分。

逆撫子は口調が悪くて「あぁん!?」と周りに怒りを振りまいていた頃の自分。

神撫子はついに神様になって、何度も何度もあの人を殺し続けた自分。

 

この4体を式神として召喚するも、マンガを手伝うという意志の疎通が取れずに、全員逃亡余接と手分けしてこの4体を封印することが物語の主題となるのでした。

 

感想

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撫物語は長い時間「ただの可愛い子」として認識されてきた撫子が、過去の自分を振り返り、そして今の自分と向き合うための物語です。その意思を強く感じる言葉が、本人から非常に多く発せられて、思いの強さを感じます。

 

わたしは個人的に常にフラットな立場にいようと考えている人間ですが、余接の言葉でとても心に刺さるセリフがありました。

 

いつでも、どこでも、誰とでも、ずっと同じ性格で通せる奴なんて、いたらそのほうが異常だと思うけれどね。いたらそいつは排除すべき危険分子だよ。どんな人でも、どころか神様だって、機嫌のいいときと悪いときはあるだろう―(中略)誰しも感情があるし、たとえなくても、状況はある。常にフラットでいるなんて、不可能だよ―しかも、受け取り手にもコンディションはあるしね。聞くほうに聞く気がなければ、どんな箴言も戯言だよ。そして誠に残念なことに、こういう事実は何ら言い訳にもならず、僕達は、それらをすべてひっくるめて、己自身として背負わなくちゃいけないんだ

 

この、撫物語の中でも屈指の長文語りだと思われるこの文章は、コロコロとキャラクターが変わる撫子に対しての余接の優しさでもあり、厳しさが感じられる言葉だけれど、フラットであろうとする私にとっても含蓄のある言葉でありました。

 

今作は撫子の物語でありながら、本当に余接のサポートとしての力を感じる物語でもあります。

 

途中にちらりと登場する老倉育も撫子とお話しする中で、自分の過去の教訓を説いてくれますし、撫子も何だかんだ周りの人間に、可愛がられるだけでなく、愛を持って接してもらえてるんだなと感じました。

 

撫子が過去を振り返って言った

あの頃の私が、「被害者」でいるのが楽ちんだったのも確かなんです(中略)私を誰より可愛がっていたのは、私自身だったんです―いつまでも被害者でい続けることで、周囲をみんな、加害者にしてしまいました。

 

このセリフは、とても大きな意味を含んだものです。

作中で扇ちゃんも哲学的だと評していますが、撫子の成長を一番感じた部分でした。

 

まとめ

恐らく本筋にはそこまで影響しないようなお話なので、ライトな化物語ファンの方は読まなくても問題は無いかな、とは思いますが、個人的には撫子の成長ぶりを肌で感じられるような作品で、読んで楽しいと思います。

 

そういえば、西尾維新先生のお得意の言葉遊びが少なかった様に感じて、結構サクサク読み終えられましたね。撫子が語り部だったので、それを意識してあまり回りくどい様にしなかったんでしょうか?

 

あと、あの伝説の上裸ブルマスクール水着などの撫子も登場するので、今すぐにアニメ化の用意をしていただきたいですね。楽しみです。

 

8月19日には電子版も発売されるようなので、電子派の方はそれまでお待ちください(予約は可能です)。8月19日に公開を控えている傷物語Ⅱ熱血編も楽しみで仕方ありませんね。

 

傷物語Ⅰ鉄血編の復習はこちらからご覧ください。

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