行動経済学から大事な選択を導く!アリエリー教授の人生相談室 【書評・レビュー】

こんにちは、Ichi先輩@Abstract1Life)です!

本書は、アリエリー教授に寄せられた「人生相談」に対して、行動経済学の知見と、教授のユーモアから、様々な回答を得られる良書です。

行動経済学とは、簡単に言うならば、経済学に心理的な考えを取り入れて、より現実的な場面を説明することを目的とした学問の領域のことです。どちらかと言えば心理学に近い考え方かもしれません。

例えば、経済学では単純に1000円の損失と捉えられてしまうような事柄でも、12歳の少年が1000円失うのと、26歳の社会人が1000円失うのでは明らかに違うでしょう。こういった、経験に基づく心理的な影響が行動経済学において扱う領域なのです。

ちなみに最初の相談に対する回答は、毎回違う人が全部を支払うという方法が一番良いというものです。それが何故なのかは本文をチェックしてみてくださいね。

さて、本書では、様々な現実的な相談や、ユニークな相談が飛び交います。

「転職したら幸せになれる?」

「頼まれごとはどう断ればいい?」

「食べ放題は何から食べるべき?」

「オークションで高く売るには?」

「ダイエットはどう続ければいい?」

少し中身を見つつ、魅力をお伝えしていきます。

1.どんな本?あらすじは?

本書は先ほどもお伝えしたように、人生相談に対して、行動経済学的な観点から回答をしていくという1問1答形式が最初から最後まで続いています。

読んだ感想としては、すぐにこの本の回答を基にして、何か行動しなければという人にはおすすめできないなというものです。

非常に具体的な回答も多く、理由も納得させられるものも多いのですが、やはりあくまでも行動経済学という学問からの選択のススメですし、この回答を鵜呑みにするのではあなたの為にはならないと思います。

なので、しっかりと回答を読んだうえで、自分の人生に役立てられるように考える題材として考えてもらいたいというのが私の感想です。

2.他の本と比べてどこがすごい?どこが面白い?

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回答の仕方がユニークな点が多いのがこの本の面白いところだと思います。
全文引用すると長いので、要約しますね。

例えば「私は周りが優秀だから出世できないけど、周りのレベルが低い環境にいる友人はどんどん出世していく。私も周りのレベルを下げて、そこで1番になった方がいいのか?」という質問に対しての回答です。

普通だったら、そんな転職しても給料も下がるから止めておいたら、とか、自分がそれで満足できそうなら転職も悪くないんじゃないか、という回答をしそうなところです。

その質問に対するアリエリー教授の回答は「自分が進歩しているという感覚を持つことは大切だから、例えそれほど意味が無くても役職をつけられるように上司に掛け合うのがいいんじゃないだろうか。それか、友人と同じような環境の人で、出世していない人と話すと慰められるかも。」といったような内容です。

あくまでも感情的な回答だけでなく、どうしたら満足感を得られるのか、現実的な側面から質問にアプローチしてくれるので、具体的な解決策が提案出来ていると思います。

3.この本の1番の魅力的なポイントは?

1番魅力的なポイントは、やはりアリエリー教授の人柄だと思います。

読んでいて人の良さが伝わる本というのもなかなかありませんが、本書を読み終えると、教授の優しさとユーモアの世界に引き込まれます。恐らく実際に会ったとしても初対面だとは思えないくらいに心をひらいてしまいそうな感覚です。

4.筆者はどういう人?

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そんなアリエリー教授の本名は、ダン・アリエリーで、デューク大学の教授です。学位としては認知心理学経営学を取得しており、経済学の学位は持っていませんが、行動経済学を専門とされています。

むかし重度の全身やけどを負い、疎外感や障害を持つことで、人生や世間を客観視するようになったことがきっかけで、社会科学や心理学に興味を持ったという過去を持っています。

研究の論文もたくさん書いていたようですが、研究の領域柄、多くの人が心を開いて、様々に相談が寄せられたようで、今回の書籍は、その中でも多くの人が悩んでいる事柄を抽出してまとめた書籍のようです。

やはり、自分の弱さを見せることは、相手の心を開くカギになっているんですね。

5.本からどういう事を学んだ?

悩みというものの回答について、本当に色々な視点があるんだなということは今回の本を読んでみて学んだことの1つです。

私だったら、こういう風に回答するなという様な人生相談も、アリエリー教授は違った視点からとらえてアドバイスしていて、為になることが多かったように感じます。

6.似たような本や読みたいと思った本は?

似たような本と言いますか、アリエリー教授が書いた本には興味があるので、ぜひ手を出してみたいなと思っています。

こちらの「予想どおりに不合理」もその本の中の1つで、人の行動選択における心理を分かりやすく様々な例を使って解説してくれている著書のようです。

他にも、NHKの白熱教室で行った講義をまとめた「お金と感情と意思決定の白熱教室:楽しい行動経済学」も魅力的なので、購入を検討しているところです。

おわりに

行動経済学は、従来の研究のように、一部の人にしか分からない領域ではなく、人の生活や行動にかなり近い部分の学問領域なので、多くの人が興味を引かれるのではないでしょうか。

これらの本をきっかけにして、もっと深く知ってみたい人は、行動経済学の解説本に手を出してみるも良し、論文を探して読んでみるも良しだと思います。

ぜひ、自分の興味のある分野の学習のきっかけを見つけたかったり、単純に面白そうな人生相談の回答を読みたい方は手に取ってみてはいかがでしょうか。

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