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天ぷらの衣部分は「天」か「ぷら」か論争に決着をつける

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人っていう生き物は、本当にどうでもいいことにこだわるものである。

その最たるものがこの天ぷら問題になるんだろう。

ちまたでは、主に13歳から30歳くらいまでの"少年"によって論じられる話題であるが、天ぷらを指して、この衣の部分は一体「天」なのか「ぷら」なのか、「天」は分かるけど「ぷら」ってなんだよ、という哲学を行う様子が多くみられる。ちょっと待ってほしい、僕は「天」の方も分からんぞ。分かる奴は今すぐに名乗り出て欲しい。

ただ、哲学を侮ってはいけない。

最近のエントリーでも挙がっていたが、John Campbell(2016)は、"it breaks down, describes, and assesses moves we ordinarily make at great speed....It then becomes evident that alternatives are possible."と述べており、我々が普段「奢ってもらうなら天ぷらかな、高そうだし。」みたいに何気なく話している天ぷらについて考えることで、その考えを変える考え方を見出すことが出来るかもしれない。

さて、皆さんが天ぷらと聞いて思い浮かべるものは一体なんだろうか?さつまいも、鱚、鶏、あなご、ナス、しかし王道はやはりエビだろう。エビ天。大体の天ぷらを省略する場合には「○○天」という省略の仕方が一般的にされている。

"エビぷら"はどう考えてもまぬけだろう。いつも何となくニコニコしてはいるんだけれど、一向に自分からは話かけないもんだから、友達はできないけど、輪の外からそのグループ内のやり取りをみて、ひたすらニコニコする、エビぷらはそんな生徒だ。

この事実から考えると「エビ+天」しっくりくる発音で、「天」が衣部分を表しているに違いないことになってしまう。でも本当に「天」が衣で良いんだろうか?

冒頭でも述べたけれど、私はこの「天」の分かるようで分からない、第二、第三の変身を残しているの様な不気味な感じがどうにも苦手だ。恐らく「天」のポテンシャルはただの衣にだけ収まるようなそんなものではない。

天ぷらを1時間外に出しておいたらどうなるか?もちろん冷めて冷たくなるに決まっている。要するにエントロピーが増大しているワケだ。だけど「天」が衣だとしたら、何時間経っても冷めない。36時間位経って「やれやれ、手間をかけさせやがって」なんて台詞を言いながら触ってもほかほかしている。エントロピーの増大に逆らえるのは唯一生命活動だけであって、もはや「天」は生きている。

知っているとは思うけれど、現実の天ぷらはものの3分も経てば、冷める。つまり、「天」は衣ではないことになってしまう。

残念なお知らせにはなってしまうのだが、どうやら"エビぷら"が正しいようだ。あの輪に入れなかった生徒が大学を経て、社会人となって、いつの間にかハキハキとものを言うベンチャーの社長になっていた感じだろう。同窓会では当時のことなど、おくびにも出さずにのびのびと喋っているんだけれど、当時との違いに戸惑って、周りが扱いに困惑するような、そんな光景が目に浮かぶ。

「ぷら」に生命力は感じないし、3分で冷めるのにも合点がいく。

でも、あえて、ここでもう一つの選択肢を提示したい。それは分けない。そういう選択肢だ。

僕らは「天ぷら」をどうしても分けたがっていた。「リンゴ」は別に分けたくならないのに、「天ぷら」はどうしても分けたい。リンゴだって「リ・ンゴ」に分けて、じゃあ「リ」が皮で「ンゴ」が実の部分です。とか言われたらそら怒られるよ。「ンゴ」ってなんだよ。

天ぷらは分けちゃいけなかったんだよ。語源を調べてみれば分かるんだけど、色々と説があって、一説の中にポルトガル語の「tempero」という食品の材料を調和結合させるという意味の語が訛って出来たんじゃないかって説があるのさ(井上, 1973)。

困っちゃうよね。外国の人が「スシ!テンプラ!コウベビーフ!」って言ってるのをふふって微笑ましく見ていたのに、真ん中だけ実はネイティブの発音だったなんてさ。せめて最後にして三段落ちにしてもらいたいよ。分かりにくいボケだよ。

でも、やっぱりさ、こういうのって、うだうだと御託を並べるもんじゃないよね。どっちでもいいもん。だけど、普段は何気なくスルーしてる天ぷら問題について考えるいいきっかけになったんじゃないかな。哲学することで、少しは違う見方になったかな。

というワケで、僕に天ぷら奢ってください。以上。

 

1. John Campbell(2016). Why Study Philosophy?. Why Study Philosophy? | Harvard University Department of Philosophy , accessed on 14 November, 2016.

2. 井上 寿子(1973).  長崎の郷土料理-主として長崎てんぷらについて-, 調理科学, Vol.6, No. 1, p.41-45.

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