奨学金制度はお得!?ファイナンス理論から見る奨学金問題【あれか、これか】

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昨今叫ばれている奨学金に関する問題は、多くの場合、奨学金を借りた若者が叫ぶ「返せない!」「返す必要がない!」そう言った主張です。

 

それに対しては「借りたものは返さなきゃいけないに決まっているだろう!」こういった意見が大半を占めており、確かにその通りだと思います。

 

私も今大学院に通っていて、奨学金を借りています。私にも返す時が訪れると思いますが、コチラの「あれか、これか」というファイナンス理論の書籍を読んでみて少し考え方が変わりました。

 

私が理解したところの、ファイナンス理論的に考えると、今奨学金を借りていることは非常にお得なことだということがわかります。今回は奨学金についての現状のおさらいとファイナンス理論について考えてみたいと思います。

 

奨学金の現状 

奨学金には基本的に給与型貸与型の2種類が存在します。

給与型

給与型は基本的にはどこかの財団や施設などが、特定の分野の勉強・研究をしている学生に対して返済義務のない奨学金を与えるような形式です。

 

つまり、お金がもらえる形態の奨学金です。

 

ただ、多くの場合若干煩わしい条件が付いているものが多く、年に何回か進捗の発表を求められたり、卒業後にその会社に就職しないと返済義務が発生したりします。

 

また、支給される金額もそこまで多くなく、この奨学金だけで生活や学費をやりくりするのは少し難しいのではないかという印象を受けます。

 

貸与型

続いて貸与型ですが、多くの学生が「奨学金」と呼んでいるのはこちらのタイプです。ポピュラーなのは日本学生支援機構の奨学金で、1種2種がありますがどちらも返済義務があります。

 

1種は利息が発生しないもの、2種は利息が発生するものです。この判定には成績や経済状況が加味されますが、基本的に成績が良ければ1種になるはずです。

 

借りる金額は何個かの選択肢から自分で選択でき、大学生と比べると大学院生が借りることのできる上限額は多くなっています。

 

そんな訳で、大学の4年間に毎月8万円を奨学金で借りたとすると、約400万円の借金として大学を卒業した後に毎月返済しなければいけないワケですね。

 

ファイナンス理論から見る奨学金

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ここで注目したいのがファイナンス理論です。

 

簡単に言えば、金額のみで状態を判断するのではなく、そのものが持つ価値、つまり本質を見極めることがファイナンス理論の考え方です。

 

価値というのは、そのモノが将来的に生むお金(キャッシュフロー)のことを指します。つまり、400万円持っていたとして、それを何もせずにタンス貯金していたら、4年経っても400万円のままで、一切のお金を生みません。

 

なので、ファイナンス理論的には現金は一番価値が低いモノとして判断されます。

 

ところが、この400万円を使ってある不動産を購入して、月5万の収益があるとすれば、こちらの方が毎月のキャッシュフローを生むモノとして、価値が高いと判断できるわけです。

 

ここで奨学金の事を考えてもらいたいんですが、面倒なので1種(利子なし)を考えようと思います。

 

月額8万円の貸与だとすると、年間で約100万円のお金を借りることができます。さて、このお金ですが、基本的には大学の学費や生活費に消えていきます。

 

つまり自己投資しているワケです。

 

1年後の100万円の価値

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例えば、あなたが100万円を持っていて、年利10%が見込めそうな分野に投資したとすると、1年後には110万円になっています。

 

これを逆算すると、もし1年後に100万円を受け取りたければ約90.9万円を投資すればいいという結論が導き出せるわけです。

 

X円のn年後の現在価値 = X円 ÷ (1+金利)のn乗

 

つまり、この投資ができる環境において、1年後の100万円は、今日時点で約90.9万円の価値しかないということが分かります。

 

これを奨学金に置き換えて、4年間で400万円借りられて、働き出した後、2年後に一括で400万返済することにしましょう。本来は毎月返済ですし、もっと長い時間をかけて返済しますが、分かりやすくするためにこのように設定します。

 

そう考えると、最初の1年目に借りた100万円は5年後に返すことになりますね。そこで、5年後の100万円の価値を先ほどの環境で考えると、現時点で約62.1万円です。

 

さらに、4年間は毎年100万円を借りれますので、2年目に得た100万円を4年後に返す3年目に得た100万円を3年後に返す4年目に得た100万円を2年後に返すと考えると現時点で以下の通りの金額の換算になります。

 

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2年目の100万円の価値:約68.4万円

3年目の100万円の価値:約75.1万円

4年目の100万円の価値:約82.6万円

 

つまり、得た時期を考慮しても、返却時の400万円の価値は、約288.2万円でしかないという換算になります。奨学金を投資として有効に使えた場合には100万円以上もお得にお金を使えることになります。

 

今回は年利10%で計算しましたが、大学を卒業して将来的に得ることができるキャッシュフローを高卒者と比べた場合に、平均年収で約150万の差が見られることから*1、実質的にはもっとお得な投資だと思います。

 

ちなみにファイナンス分野では、キャッシュフローを生みやすい順に、ヒト、モノ、カネと定義されているようで、自己投資が一番キャッシュフローを生むことに直結しているものだと考えられています。

 

以上の事から、奨学金の存在は、基本的にはお得なものだと思います。恐らく、返済できないと叫ぶ人たちは、奨学金を自己投資していたのではなく、ただ単に消費してしまっていただけではないかと思われます。

 

奨学金の格差

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ただ、目に余るのは留学生への過剰とも思える支援です。留学生に対しては、家賃補助や学費の免除、支援金という名目での実質的な給付型の奨学金が支給されたりと、とても優遇された環境が提供されます。

 

この原因として考えられるのが、留学生をどの程度受け入れているのか、英語の論文をどの程度提出しているかといった項目が大学ランキングなどに大きく反映されることです。

 

恐らく奨学金に対して不満を訴える学生は、この留学生に対する対応との違いに対しても若干ヘイトを持った上で嘆いているのだと思われます。

 

確かに私も大学にいて、授業料の免除申請や奨学金の申請をしようと思う時にこの格差を感じます支援で学位を取って、むしろそれに加えて貯金まで持って、自国で良いポストの仕事に就くという話も良く耳にします。

 

科学力をアピールすることは日本の為になる事だとは思いますが、そういった目先に囚われた支援をするよりも、もう少し大学教育と科学について考えてお金を使っていくべき段階だと個人的には思います。既に遅い気もしますけれどね。

 

まとめ

今回は「あれか、これか」という書籍に書いてあったファイナンス理論を自分なりに解釈して、奨学金問題について考えてみました。本書には奨学金に関する記載はありませんので、全て正しい考えだという保証はありません

 

ただ、わたしとしては奨学金で助かっているので、あまりにもヘイトが集まっていて、少し違う考え方を提示したいと思って書いています。どこかお金の換算を読み間違えていそうで怖いですけどね。

 

「あれか、これか」という書籍はファイナンス理論を軸に、株や不動産といった点についてもノーベル賞を取った理論を4つほど用いて丁寧に記載されていますし、分かりやすくて有益な本だと思います。

 

自分の中に新しい考え方の軸を持つことは、世の中を見る目を増やすことに繋がりますから、みなさんも自己投資に読んでみてはいかがでしょうか。では、また。

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